ふっくら草子(そうし)~和の贈り物と文字で綴る、癒しのものがたり~

やさしさいっぱい、ふっくら堂の小さな言の葉帖

ふっくら草子⑦ ふっくら組のはじまり|ふっくら畑と和ハーブとお茶のちいさな誓い

藍の里の畑 ふっくら畑

春、藍の里の畑「ふっくら畑」にて。

 

 

 

やわらかな陽ざしと、ふわりと香る春の風。

藍の畑では、ふくのんが静かに土を撫でていました。

 


「…よもぎさん、しそさん、どくだみさん、


…ここが、あたらしいおうちだよ」

 


ふくのんのそばには、赤い前掛けに宝来鈴をつけたふくりんが、ちょこん。

 


「和ハーブとは、古の人々の知恵の宝箱じゃな。

 お茶にしてよし、お風呂にいれてもよし。ふくふくの香りでございますなぁ…」

 


そこへやってきたのは、ぴょんぴょん跳ねる野うさぎさん。

 


「おや、今日もいい香り!ふくのんの畑は、まるでおくすり箱みたいだね!」

 


ふくのんはにっこりと笑いました。

 

 

 

そしてもうひとつ――

 

 

 

ふっくら畑には、小さなお茶畑もありました。

 


そこでは、春の芽吹きとともに、小鳥さんたちがちいさな嘴でお茶の新芽をくわえては、

ふくのんたちのかごの中に、ひょい、ぽとん、と届けてくれます。

 


「ぴちぴちっ♪ きょうも緑茶の新芽、つやつやだよ〜!」

 


「ちゅんちゅんっ♪ こっちはほうじ茶用に…すこし多めにとってきたよ〜!」

 


ふくりんはそれを見て、

 


「こりゃまた、見事な連携でございますなぁ。小鳥衆よ、感謝であるぞ」

 

 

 

 

小さな相談会、そして誕生のとき。

 

 

その日の午後、3人と小鳥たちは、集まってお話しをしました。

 


ふくのんは静かに言います。

 


「…この畑で育てた葉っぱやお茶を使って、

 みんなで“やさしさ”を届けることができたらって…」

 


ふくりんの鈴が「ちりりん…」と鳴りました。

 


「ふくのん殿、それはまさしく“ふっくら”の志でございますなぁ。名をつけてはどうであろう?」

 


野うさぎさんが、ぱっと目を輝かせて、

 


「だったら、“ふっくら組”ってどうかな?

 ふくのんも、ふくりんも、ぽふっとやさしいし、わたしも…入りたいな!」

 


「ちゅんっ!」

「ぴちちっ♪」

小鳥さんたちも、羽をふわりと広げて、仲間入り。

 


ふくのんは、小さく笑って、

 


「…ふっくら組、はじまり…だね」

 

 

 

 

ふっくら組のやくそく

 

 

こうして、藍の里に根づいた和ハーブ園とお茶畑から、ちいさなチーム「ふっくら組」が生まれました。

 


和ハーブのお茶、緑茶、ほうじ茶、玄米茶、そして和紅茶――

自然のめぐみとやさしさを、ていねいな手しごとで包んで、

誰かの心に、そっと届けること。

 


それが、ふくのんたちのちいさな“やくそく”になったのです。

 

 

 

今日も、香る風のなかで。

 

 

野うさぎさんが、玄米茶の試作品をくるくるまわし、

ふくりんは「おつかれさま茶」と名づけ、

小鳥さんたちは、次の新芽を見つけに飛びたちます。

 


ふくのんは、やさしく手を合わせて、

その光景を静かに見守りながら、ぽつり。

 


「…この風が、どこかの誰かに、

 “ふっくら”を届けてくれますように…」

 


その祈りに応えるように、

ふくりんの鈴が「ちりりん…」と、風にとけて鳴りました。

 

 


こうして、“ふっくら組”の物語は――そっと、あたたかく、はじまりました。

 

 

 

ぽふぽふ……ふわ〜ん。

 

 

ゆっぽっぽ

 

 

◆ ものがたりの余白に、すこしだけ民法のやさしいおはなしを…

ふくのんが拾った花びらのように、
野うさぎさんのひとことが、風にのって誰かの心に届いたとき——

「ねぇ…こういうのって、“契約”になるのかな?」

ふっくら組のように、想いでつながった仲間たちが、一緒にお茶や匂い袋をつくる。
その活動のかたちは、法律の世界では「任意組合」に近いのかもしれません。

そんな“ふっくらとしたつながり”のなかにある、
ちいさな「契約」のしくみを、やさしく学んでみませんか?

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やさしさの根っこに、
そっと寄りそう“法”のぬくもりも、
きっとあるのです。

 

 

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