
春、藍の里の畑「ふっくら畑」にて。
やわらかな陽ざしと、ふわりと香る春の風。
藍の畑では、ふくのんが静かに土を撫でていました。
「…よもぎさん、しそさん、どくだみさん、
…ここが、あたらしいおうちだよ」
ふくのんのそばには、赤い前掛けに宝来鈴をつけたふくりんが、ちょこん。
「和ハーブとは、古の人々の知恵の宝箱じゃな。
お茶にしてよし、お風呂にいれてもよし。ふくふくの香りでございますなぁ…」
そこへやってきたのは、ぴょんぴょん跳ねる野うさぎさん。
「おや、今日もいい香り!ふくのんの畑は、まるでおくすり箱みたいだね!」
ふくのんはにっこりと笑いました。
そしてもうひとつ――
ふっくら畑には、小さなお茶畑もありました。
そこでは、春の芽吹きとともに、小鳥さんたちがちいさな嘴でお茶の新芽をくわえては、
ふくのんたちのかごの中に、ひょい、ぽとん、と届けてくれます。
「ぴちぴちっ♪ きょうも緑茶の新芽、つやつやだよ〜!」
「ちゅんちゅんっ♪ こっちはほうじ茶用に…すこし多めにとってきたよ〜!」
ふくりんはそれを見て、
「こりゃまた、見事な連携でございますなぁ。小鳥衆よ、感謝であるぞ」
小さな相談会、そして誕生のとき。
その日の午後、3人と小鳥たちは、集まってお話しをしました。
ふくのんは静かに言います。
「…この畑で育てた葉っぱやお茶を使って、
みんなで“やさしさ”を届けることができたらって…」
ふくりんの鈴が「ちりりん…」と鳴りました。
「ふくのん殿、それはまさしく“ふっくら”の志でございますなぁ。名をつけてはどうであろう?」
野うさぎさんが、ぱっと目を輝かせて、
「だったら、“ふっくら組”ってどうかな?
ふくのんも、ふくりんも、ぽふっとやさしいし、わたしも…入りたいな!」
「ちゅんっ!」
「ぴちちっ♪」
小鳥さんたちも、羽をふわりと広げて、仲間入り。
ふくのんは、小さく笑って、
「…ふっくら組、はじまり…だね」
ふっくら組のやくそく
こうして、藍の里に根づいた和ハーブ園とお茶畑から、ちいさなチーム「ふっくら組」が生まれました。
和ハーブのお茶、緑茶、ほうじ茶、玄米茶、そして和紅茶――
自然のめぐみとやさしさを、ていねいな手しごとで包んで、
誰かの心に、そっと届けること。
それが、ふくのんたちのちいさな“やくそく”になったのです。
今日も、香る風のなかで。
野うさぎさんが、玄米茶の試作品をくるくるまわし、
ふくりんは「おつかれさま茶」と名づけ、
小鳥さんたちは、次の新芽を見つけに飛びたちます。
ふくのんは、やさしく手を合わせて、
その光景を静かに見守りながら、ぽつり。
「…この風が、どこかの誰かに、
“ふっくら”を届けてくれますように…」
その祈りに応えるように、
ふくりんの鈴が「ちりりん…」と、風にとけて鳴りました。
こうして、“ふっくら組”の物語は――そっと、あたたかく、はじまりました。
ぽふぽふ……ふわ〜ん。
ゆっぽっぽ
◆ ものがたりの余白に、すこしだけ民法のやさしいおはなしを…
ふくのんが拾った花びらのように、
野うさぎさんのひとことが、風にのって誰かの心に届いたとき——
「ねぇ…こういうのって、“契約”になるのかな?」
ふっくら組のように、想いでつながった仲間たちが、一緒にお茶や匂い袋をつくる。
その活動のかたちは、法律の世界では「任意組合」に近いのかもしれません。
そんな“ふっくらとしたつながり”のなかにある、
ちいさな「契約」のしくみを、やさしく学んでみませんか?
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やさしさの根っこに、
そっと寄りそう“法”のぬくもりも、
きっとあるのです。