ふっくら草子(そうし)~和の贈り物と文字で綴る、癒しのものがたり~

やさしさいっぱい、ふっくら堂の小さな言の葉帖

ふっくら草子① はじまりの道 〜藍の里のこと〜

藍の里


こんにちは。ふっくら堂の小さなものがたり帖、ふっくら草子へようこそ。

ここでは、今という時代のすぐそばにひっそりと息づく、やさしさの世界「藍の里(あいのさと)」を、そっと紐といていきます。

 


それは、にぎやかな日常の奥深く。

一息ついたその先に、そっと開く、もうひとつの扉のような世界。

そこに、藍の風が流れています。

 


海と山のあいだに、風が棲む里

 


たとえば、ふと立ち止まったとき。

胸の奥に、すーっと風が吹きぬけた気がしたなら──

もしかしたらあなたは、もうこの里の入り口に立っているのかもしれません。藍の里(あいのさと)は、海と山のあいだにある、小さな里。

地図には載っていないけれど、心の静けさの中にふわりと現れる場所です。

 


ここでは、草花が季節の言葉で語りかけ、

小川が「おかえり」とささやき、

空の風が「大丈夫だよ」と背中をそっと押してくれます。

 


音も、色も、時間さえも、

どこかやわらかくて、懐かしい。


見えないけれど、確かにそこにあるもの

 


この里には、不思議な存在たちが暮らしています。

 


──祈りを翼にのせて舞う、小さな折り鶴「福蔵鶴(ふっくらづる)」

──たんぽぽと語らい、風に鈴をゆらす笑顔のお地蔵さま「ふくりん」

──藍の滝に棲み、静かに見守る龍の神さま「大和(やまと)」

 


どの存在も、目に見えるとはかぎりません。

でも、想いや祈りがそっと届くとき、

その姿は、やさしい気配となって現れるのです。

 

 


ここにある しごとと日々

 


藍の里には、

折り鶴に願いをこめる「ふっくら堂」という小さな手しごと屋さんがあり、

足のうらから元気を届ける「足踏みゆっぽ」という癒しの小屋があり、

暮らしを支える法のことをやさしく学べる「寺子屋 法の学舎(まなびや)」もあります。

 


この里に暮らす人びとは、誰もが「できること」をていねいに重ねながら、

手と手をつなぐように、日々を紡いでいます。

 


「ありがとう」が風にのって返ってくるような、

「だいじょうぶ」がそっと芽を出すような──

そんな、やさしさの循環がここには流れているのです。

 

 

 

ふっくら草子の旅は、ここ「藍の里」からはじまります。

次のお話では、この里の奥深くにある「藍の滝」、

そしてそこに棲む龍の神さま・大和(やまと)の物語を、お届けしますね。

 


ではまた、

風の道でお会いしましょう。

 

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