こんにちは。ふっくら堂の小さなものがたり帖、ふっくら草子へようこそ。
ここでは、今という時代のすぐそばにひっそりと息づく、やさしさの世界「藍の里(あいのさと)」を、そっと紐といていきます。
それは、にぎやかな日常の奥深く。
一息ついたその先に、そっと開く、もうひとつの扉のような世界。
そこに、藍の風が流れています。
海と山のあいだに、風が棲む里
たとえば、ふと立ち止まったとき。
胸の奥に、すーっと風が吹きぬけた気がしたなら──
もしかしたらあなたは、もうこの里の入り口に立っているのかもしれません。藍の里(あいのさと)は、海と山のあいだにある、小さな里。
地図には載っていないけれど、心の静けさの中にふわりと現れる場所です。
ここでは、草花が季節の言葉で語りかけ、
小川が「おかえり」とささやき、
空の風が「大丈夫だよ」と背中をそっと押してくれます。
音も、色も、時間さえも、
どこかやわらかくて、懐かしい。
見えないけれど、確かにそこにあるもの
この里には、不思議な存在たちが暮らしています。
──祈りを翼にのせて舞う、小さな折り鶴「福蔵鶴(ふっくらづる)」
──たんぽぽと語らい、風に鈴をゆらす笑顔のお地蔵さま「ふくりん」
──藍の滝に棲み、静かに見守る龍の神さま「大和(やまと)」
どの存在も、目に見えるとはかぎりません。
でも、想いや祈りがそっと届くとき、
その姿は、やさしい気配となって現れるのです。
ここにある しごとと日々
藍の里には、
折り鶴に願いをこめる「ふっくら堂」という小さな手しごと屋さんがあり、
足のうらから元気を届ける「足踏みゆっぽ」という癒しの小屋があり、
暮らしを支える法のことをやさしく学べる「寺子屋 法の学舎(まなびや)」もあります。
この里に暮らす人びとは、誰もが「できること」をていねいに重ねながら、
手と手をつなぐように、日々を紡いでいます。
「ありがとう」が風にのって返ってくるような、
「だいじょうぶ」がそっと芽を出すような──
そんな、やさしさの循環がここには流れているのです。
ふっくら草子の旅は、ここ「藍の里」からはじまります。
次のお話では、この里の奥深くにある「藍の滝」、
そしてそこに棲む龍の神さま・大和(やまと)の物語を、お届けしますね。
ではまた、
風の道でお会いしましょう。